ペット

4月の猫のこゆびさん—のみのみ

 こゆびは2007年の4月の末、うちに来た。

 吉田寮から、紙袋に入れ拉致同然に連れ帰った。道中非常に悲痛な声を出すので辛かった。百万遍では車の音に怯え袋から這い出そうとした。押さえつけるのが辛かった。

Dsc03159_3 寮できょうだいや母猫ツンに甘えているのを見ていたからな。軒下の段ボール箱に住んで、ちょうど季節はざわざわと緑が増え出す頃。まだ肌寒かったけれど、中庭の緑は、黒く押し黙った寮棟を覆い隠そうとするかのように光を帯びて、夜目に美しかった。

 家に連れてこられたばかりのこゆびは、のみとシラミがついていて、初めは一緒に寝らんなかったんだよね。階段も登れなかったから、二階の寝室には上げないことにして、人間の方は、階を行き来する度服を変えたりしていた。階段下の壁際で、汚染服から非汚染服にもぞもぞと着替える人の姿が頻繁に目撃されるという滑稽な一時期だったな。

 そんでまた、夜、まだ赤ちゃんみたいなこゆびをひとりぼっちにして寝るのが本当に辛かったなあ。時々鳴き声で眠れなくて、下の階のソファで一緒に眠ったしたな。あの頃そういうことをしたのは私だけなのに、今ではすっかり東くんが好きらしく、東くんの膝や胸の上で眠りたがるのが小憎らしいです。

 獣医さんで虫取りの薬をつけてもらうとシラミは全滅して復活もなかったんだけど、のみには苦労したな。3〜4週間もするとまた増えて来てしまって。

 そう、のみのうんち!僕は20年生きて初めて見たけど、のみのうんちって、うずうずしてんの!のみのうずうずうんち!はじめ、こゆびの寝ているところに小さくてつやのあるつぶつぶしたものが落ちているんで、こゆびの血が乾いたものかと思ってたんだけれど、妙に定型なのが不思議に思ってたら、物の本に、「猫の寝床に黒っぽい粒が落ちていたらそれはのみの糞である」ってあるんだもの、あのうずうず型にも納得がゆきましたよ。うーん、のみのうずうずうんち嫌い!

 この頃少しのみのことを調べたりしたけれど、江戸時代には猫ののみを取るお小遣い稼ぎみたいな仕事があったんだってね。猫ののみを取りましょう、と呼ばわりつつ往来を歩いて、頼まれるとまずは猫を洗って、それを狼の毛皮にくるんで抱いていると、濡れたところを嫌ってのみが毛皮の方へ移ってゆくんだそうです。最後に道へ出て、毛皮をぱぱっと払ってやればのみ取り完了。猫一匹三文といったかな。狼の毛皮にくるまれて抱かれている猫っていうのが可愛いと思うんだよ。

 で、こゆびののみ。毎朝のみ取り櫛で梳くと、本当に、イラストで見る通りの、薄茶に透き通ったのやら赤黒く成長したのやら、毎日数十匹は出てくるという有様で、またこれが、こゆびが自分で舐められない顎の下にくっついてさ、小さなこゆびの血を吸っているんだから、僕は本当にのみを憎みましたよ。目の敵という奴です。Dsc03167 ぷちぷちした奴ら死ね!と思って暮らしていました。と書くとなんだか殺伐とした感じねぇ。

 東くんがずいぶんのみ被害にあって、あちこち赤くしていたな。僕も刺されてたみたいなんですけどね、あまり腫れたりはしなかった。

 その後も何度か、月1くらいで薬を使っていたけど、つい最近はもう使わなくてものみが出てくることもなくなって、一緒の布団で丸くなって寒さをしのぐ毎日です。うん、夜はね、東くん寝返りが多いから、僕の布団の方がよいみたいです。ふわふわ。

Dsc03171       (写真は6月頃のもの。生後2ヶ月だね。)

| | コメント (0) | トラックバック (1)